J3D連載コラム 

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閉ざされた3Dプリンター業界から新しい夢のある3D造形業界へ

株式会社エルアンドエル代表取締役社長 
堤 欽也 

約30年という歴史のある3Dプリンター業界の中心にあるストラタシス、3Dシステムズの2015年の売上予想が1250億、1100億ぐらいの予想であり、その他全部で300億ぐらいである。30年かけて構築してきたわりに売上規模が小さい理由は、時代とニーズのミスマッチ、それと特許問題ではなかろうか?近年FDM方式プリンターやSLA方式のプリンターが軒並み安価になり、大企業しか購入できなかったスペックの商品が10分の1程度の価格で購入できるようになって来たと一般消費者の方たちは思っているのではなかろうか?理由はストラタシスのFDM方式の特許切れ、3DシステムズのSLA方式の特許切れが端を発しFDM、SLA両方式がコンシューマータイプの価格になりつつある。しかし価格がいくら安価になったところで、3Dプリンター本来の目的であるラピードプロトタイプという立ち位置から脱却出来るであろうか?ホビーに使用する個人ユーザーには魅力的な話であるが、ビジネス面でみると精度は高い、積層ピッチも細かいが、材料が高価であり材質も限られプリント速度は遅い、そのうえSLA方式の場合はレジン臭があり換気まで必要となる。このような状態では中々完全なるコンシューマータイプの3Dプリンターにはなれないであろう。来年あたりにはSLA方式で現在の50倍~100倍のスピードの新商品の発売や材質も新素材が開発されると思うので、しばしの間期待して待つ他に術はないかもしれない。

しかし懸念事項としては、安価になった3Dプリンターを一般消費者たちが所有することにより、すべての人たちがある意味製造業者になるわけで、それぞれ製作した物をネット販売したりすることにより今までの販売業者を脅かすことになるかもしれない。また粗悪品も出回る確率が増えることは言うまでもないであろう。私たち医療業界人のニーズは患者さん個人の解剖、症例に一致した院内テイラーメイド臓器のマニュファクチャリングであり、材質、精度的に医師が満足出来る物でなければならない。TPPが解禁し混合診療が可能になれば院内でのラピードテイラーメイドは常識になり、手術適応の患者さんが高額な臓器マニュファクチャーモデルを自費で支払うケースや民間の大手生命保険会社が手術保険、入院保険の中から支払うケースが増えてくるであろう。その時代が来るまでに医療業界では、ラピードテイラーメイドを確立する必要があり、装置メーカーとしてはワークステーションの性能向上(AUTO化)、製造する人間は画像診断学、画像解剖学、セグメンテーション、クラスタリングの方法、3Dプリンターの知識を高め教育を受ける必要があるのではなかろうか。

2015.10.15

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